病院で尊厳死ができるか?
日野原重明先生はこう言われています。「病院や医師に対して生前から、自分が最後を迎えた時は人間の尊厳を保ちながら死ぬ様にケアして下さいと遺言するという意味で”日本尊厳死協会”に入っておく訳です。しかしこれまでも名医と言われた医師は、助からない人の場合は痛みを止めて静かに眠る様に、しかも、最後まで声が言える様にしてきました。ところが今の病院はどうですか?息が苦しいとなると声帯を通して管を気管に入れる。そしてその管から酸素を送る。呼吸中枢がやられて呼吸が止まっても自動的なモーターの作用で一分間に12回管から酸素を入れては空気を出すという人口呼吸を機械を使ってやる訳です。しかしそれをやると声帯が動かなくなりますから声を出せなくなります。多くの患者さんは延命の為にそれをやられ、たとえ意識があっても言葉が口にできない。苦しいという言葉も言う事ができない。癌の末期患者にこれをやっても癌は治らない。一日二日命が延びても意味がありません。私は神様から与えられた一番の贈物は言葉で家族や愛する人とコミュニケーションが出来る事だと思います。皆さん自身が医師に対してはっきりと話をする事も必要です。『先生、私が癌であったら率直に言って最善を尽くして下さい。しかし、いよいよという時には上手にモルヒネを使いながら無理な検査とか無理な処置をしないで静かに休める様にして下さい。』アメリカではこうした患者の発言をちゃんとカルテに書きます。DNR(Do Not Resuscitate)/蘇生処置拒否。死を覚悟した患者ないし家族によって容態が急変し心肺停止に至っても心肺蘇生(胸骨圧迫、人工呼吸/気管内挿管)を行わないで静かに看取ってほしいという意思表示。日本ではそれをよくやっている病院とあまりやれていない病院があるので選択する努力が必要です。」残される人達の為にも考えておかなければいけない様な気がします。