敵を愛せよ
「聖書」の中で「敵を愛しなさい」なんて言う。敵なんて愛せる訳がない。キリスト教なんて嘘だと思ってしまう。でも「聖書」はちゃんとギリシャ語を使い分けている。お互いに相手に好意がある場合は「フィリア」という言葉で「愛」をあらわす。そして敵のように絶対にどうしても赦し難い相手に赦し難いままで愛を与えることが本当の愛でそれを「アガペー」という言葉で表現する。このように「聖書」は嫌いな相手を心から好きになれなどとは書いていない。『嫌いなままでいいから愛しているのと同じ事をしろ』と書いてある。(曾野綾子)