眠り
『眠り』は人間の軀に元々備わった心身を休める最高の薬です。絶対苦しまずに死ねる「究極の治療法」は鎮静剤(入眠剤)を上手に使って眠る方法です。ぐっすり眠ってしまえば手術で麻酔をかけた時と似た状態になるので苦しみを感じる事はありません。患者が苦しそうに見える事もありますが、本人は苦しみを感じていません。こうした十分な睡眠を得る為に有効なのは点滴の鎮静剤(セルシン、ドルミカム、ウィンタミン)それだけで不十分な眠りの時には「アナフラニン」「トリプタノール」向精神薬を一緒に使う事でより深く眠る事ができます。症状によっては鎮痛剤の使用で死期を早めてしまう事もないとは言えませんが上手に使えばむしろ苦しみがとれて延命に繋がる事さえあります。この「究極の治療法」はどうにもならない精神的苦痛を和らげるのにも役立つ事があります。例えば「痛みがとれても心が苦しくて生きているのが辛い。安楽死させて下さい。」と懇願される方にカウンセリングを行ったり安定剤を工夫したりしても激しい抑鬱感がとれない事があります。こうした時にこの「究極の治療法」を使って2〜3日ぐっすりと眠ってもらうと不思議なほどに抑鬱感が取れ「この位の気分ならまあ生きていてもいいか」という気持ちになることが多いのです。まずは『あらゆる苦しみは眠る薬を使う事で100%取り切ることが出来る』と想って安心してよいのです。(森津純子先生)