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体験的鬱対処法

私の体験

 私の場合、ある問題が生じてそれを解決しようと自分なりに精一杯やっても一向によくならなかった時、原因は自分にあるとひたすら自分を責めました。自分を責めても何ら改善しないのですが性格なのか止りません。鬱とは「辛い」という心境と「疲れ果ててクタクタ」の状態です。自責が続いて自分自身が耐えられなくなった時、発症した様に思います。自己救済なのかもしれません。私は鬱病者は嫌いではありません。自分で言うのも何ですが、融通がきかなくて、生真面目で、一所懸命だからです。また、完璧を求めてオールオアナッシングと考える癖もあります。もしかすると欲張りなのかもしれません。それは好きな性格ではありませんが・・・。しかし、これが高じると自傷したり、生きるに値しないと思うと自殺する人もいるので注意が必要です。幸い私は一度もそうしようと思った事はありませんでした。あせらずに休養すれば、鬱は必ず治る病気です。唯、最近の鬱病者には他責の患者が多くいらっしゃるそうです。長野先生に聴くと、それは「新型うつ」と呼び、自責患者に比べて非常に治りにくいとの事です。

体験的対処法

まず休む・絶対臥褥療法

 鬱とは自分の限界を超えてエネルギーが枯渇した状態です。私が初回入院した時は疲れ果てていて何もする気が起こらず、一日中ベッドの上にうつ伏せていました。歯も磨く気にならない。食欲も無い。あれほど好きだった風呂にも入らない。髭を剃る気もしない。一日中ひたすら横になったままでした。森田療法ではこれを「絶対臥褥」と呼んでいます。ようやく起き上がろうかと思ったのは10日程経ってからでした。野生動物は体調が悪くなると何も食べずに水だけ飲んで、ひたすらジッとしていると何かで読んだ事があります。疲れが取れると野生動物も人間も自然と起き上がる様です。

「頑張って」はタブー

 自分の限界を超えて、もうこれ以上頑張る事ができないので鬱病になっています。もしかしたらお天道様が救済して下さっているのかもしれません。

信頼できる医師・共感者

 鬱病者は非常に「不安な心境」にあります。私の入院中は、毎日夕方になると長野先生が来て「気分はどうか?」「まだ何となく不安感があるな。」「そうか、じゃあ少し不安感が安らぐ薬を処方しとこう。まあゆっくりしとけ。」自分の事を毎日心配してくれるこの会話でどれだけ救われた事でしょう。畏友・日田上野公園病院の長野浩志先生がいなければ今の自分はありません。

薬も必要

 鬱とはホルモンの脳内バランスが崩れた状態だと長野先生から教えてもらいました。セロトニンという伝達物質が不足すると鬱や不眠になるそうです。物質が精神状態に影響を及ぼすというのは不思議な気もしますが、怒りが猛毒を産出するのであれば合点がいきます。長野先生が細やかな問診により、適切な抗鬱剤を処方してくれたお陰で早く良くなったと思っています。薬は基本的に毒だと思うので、今は何の薬も飲んでいませんが、鬱には必要だったと思います。

大事な決断はしない

 鬱とは非常に辛い状態なので一刻も早く逃れたいという気持ちになります。早く楽になりたいと焦るのです。例えば仕事の問題で鬱になると、辞めたら楽になるだろうと思う訳です。私もそう思った事がありました。しかし長野先生からこう注意されました。「大事な決断をしてはいけない。今考えている事を紙に書いておくといい。後で読み返したら、あの時は何故こんな事を考えていたのだろうと思うから。」その通りでした。
 

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